もうちょっとましな感想

ダーク・バイオレッツ 3』感想の続き。
最初のを読んだときも映画みたいな話だなぁ、と思ったのだが、今回もやはりそういう印象。図書館の司書とか、尾沼三世とか、スポーツショップの店員とかの視点から見た、ちょっとした幕間劇のようなシーンが挿入されているせいかもしれない。こういうの、けっこう好きだな。とくに、父親が仏壇にむかって念じているのを見て、足音を忍ばせて去る尾沼三世がいい感じ。
スティーブン・キングとか、トマス・ハリスとか、こってりしたのを続けて読んだ後だってこともあるんだろうけど、「ホラーアクション」*1というわりには、ホラーもアクションもあっさりめ。芋虫がいっぱい出てくる気持ち悪さってのはあるけど。
どちらかというと、話の中心は、なぜ明良が戦うのか、という謎解きにあると思う。じいちゃんの衣鉢を継ぐ、ってだけでは説明できない部分が、今回明かされる。他人とは違う力を持つというのは、本人にとっては呪縛としか言いようがない場合が多い。悩めるヒーロー、スパイダーマンも、そういう話だった。責任感と言ってしまえば簡単なんだけど、自分の力を使わずに逃げることで、自分の心を蝕む苦しみよりも、戦いの危険や痛みをこらえたほうがましということかもしれない。
新しい登場人物も、妙におとなびた女の子。彼女の背景はまだほとんど語られていないので、お話はまだまだ続きそう。祖父のチームは4人だったのに、まだ3人しか出てきていないのだから、もうひとり主要な登場人物が増えそうだし。うちの中学生は、次の紫の特殊能力の持ち主は、いったい「紫のなに」なのか、予想に余念がない。彼いわく、常世のものを呼び寄せる「紫の声」じゃないかということだけど、はてさて、どんなもんだろう。

*1:カバーの袖にそう書いてある