学生服とキャスティング−『シネマ坊主 2』
- 作者: 松本人志
- 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
- 発売日: 2005/06/23
- メディア: 単行本
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驚いたのは、まず『火山高』についての部分。日本映画へのオマージュを読み取るのはいいんだけど、詰襟の制服まで持ち出しちゃまずいだろう。詰襟の制服は韓国にもある。『チング』『ラブストーリー』など、最近の韓国映画にも出てくる。あと、これはドラマだが、『冬のソナタ』。*1それなのに、「あるかどうかわからない」として、論を進めている。こんなの、ちょっと調べればすぐわかることだし、自分で調べなくても、調べてくれる人がまわりにいるんじゃないの?
もうひとつ、『ミスティックリバー』についてだが、ショーン・ペンをキャスティングしておきながら、別の登場人物に「ショーン」という名前を与えているのがおかしい、と書いている点。ほかに役者はいくらでもいるのだから、ショーン・ペンをキャスティングする必要はない、とまで書いてある。「ショーン」という名前がアイリッシュに特徴的なものであり、ショーン・ペンはアイリッシュであるということは、ご存じないらしい。しかし、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンと並べてつりあいの取れる役者、年齢的にあてまはり、アイリッシュらしいアイリッシュを演じて不自然じゃない、という条件をつけると、そうそう他にいるとも思えないが。原作にある名前が動かせないなら、キャスティングを変えろ、という発想自体、安易すぎてあきれてしまう。
タレント本としてはいいのかもしれないが、映画評というには、あまりにもものを知らなさすぎる。これを読むと、鋭い感性だけでは、映画評はムリだということは、よくわかる。
*1:そういえば、これって、10年以上前を舞台にしたものばっかりだな。最近見たドラマでは『サンドゥ、学校へ行こう』『ラブレター』『ピアノ』、すべて男子制服はブレザーだった。