『オアシス』

見た、といっても、VCD なので、画面は小さく、画質音質はそれなり、しかも字幕無し。本を読んでいたのでストーリー自体は理解できたが、これで見たといえるのか、という気もする。
いやそれにしても、ムン・ソリの捨て身の演技のあまりの迫力に、ほかのものすべてがすっとんでしまう。ソル・ギョングが、ちょっと頭が弱く、自己中心的で社会に適応できないチンピラを、相変わらず徹底的に作りこんだ演技で表現しているのだが、ふたりの演技力ガチンコ勝負は、この設定では圧倒的にソリ有利。つか、そういう話じゃないって？
小説*1のほうでは、コンジュの娘らしい心のひだが細かく描かれているし、なんといっても彼女の姿は自分の想像上のものなので、このふたりの恋愛もすんなりと受け入れられるのだが、もとの顔立ちがわからないほどゆがめられたムン・ソリの表情から、心の動きを読み取るのはむずかしい。だが、不思議なことに、ジョンドゥを心待ちにする気持ち、彼のそばで感じる体が温かくなるような幸せ、というものは伝わってくるんだな。すごいよ、これは。
コンジュの障碍が消えて立ち上がるファンタジックな場面も、残酷だよなぁ、と思いながら見ていたが、いやな後味はない。

*1:原作かノヴェライズかどっちだったか失念。本が見つからないし