DNA という言い訳−『CODE46』

CODE46 スペシャル・エディション [DVD]
ティム・ロビンス強化中なのである。これが最新作か、というと、『宇宙戦争』にも出ていたんですな。
ともあれ。上海を舞台にした映像は美しく、ティム・ロビンスもかっこいい中年振りをご披露している。音楽もよい。だが、アジアと近未来というと、どうしたって『ブレードランナー』を思い出してしまうわけで、映像にあれほどの破壊力はなく、ただきれいなだけ。
出張先で、若い女の子をツマミ食いしたオヤジが、DNA という言い訳を見出して暴走、なんていっちゃ、ミもフタもないな。
妻と子への愛情たっぷりのシーンは何度も出てくるのだが、家族を捨てて恋人と逃避行に走る以前に、葛藤はまったく描かれない。パペル(滞在許可証というかパスポートというか、この映画の中の重要な設定)の期限が迫っているのは本人もわかっているはずなのに、それ以前は時計を気にする風もなく、切れちゃったの? あっそう? みたいな対応も拍子抜け。そもそも、最初から、犯罪を犯している相手をかばうために、罪もない他人になすりつけて平然としてるし。
遺伝子的一致による許されない愛、というSF的なテーマと、既婚者の恋愛という十年一日なテーマがうまくかみあってないのが残念でした。
しかし、これほど医療技術が発達していて、完璧な避妊技術はないのかね? 性行為じゃなくて、生殖が問題なわけでしょ? などといってしまうと、この映画自体がなりたたなくなってしまうが。