砂漠の王子−『西の善き魔女5』

この巻は、もともと外伝として発表されたもので、主人公はフィリエルではなくアデイルである。
女王候補として、政治の渦中にいる16歳のアデイル。そんな立場など眼中になく、ひとりの少女としてのアデイルの前に立つ、失われた国の王子。しかも舞台は砂漠の国である。いやー、ロマンチック。
少女のビルドゥングス・ロマンの中に、国際政治や宗教上の争いなどの血なまぐささを書き込むバランスが絶妙だ。