外見の美醜と人間性−『愛しのローズマリー』

先日『オレンジカウンティ』を見て、ジャック・ブラックがあまりにむさくるしいのに辟易としたのだが、今回はちゃんとしたビジネスマンの役ということで、こざっぱりしている。だが、逆にはじけ方はイマイチ。
外見の美醜が人間性と反比例するみたいな描き方になっているので、どうも見ていて居心地が悪い。実際は、外見と内面には、正負どちらの相関関係もないよな。ジャック・ブラックが見ている世界と、周りの人間が見ている世界の落差が大きければ大きいほどおもしろいわけだから、リアルさより、そっちを優先した結果なのだろうけど。それにしても、アメリカのデブ差別にはげっそり。
グウィネス・パルトロウは、美貌というより、裕福な家庭できちんと育てられたお嬢さん、という雰囲気がよかった。デブバージョンのときは、ずっと別の太った女性の後姿だけを使っていたのだが、最後はグウィネスが肉襦袢と特殊メイクで現れるので、それまでわりとフェミニンな衣装だったのが、最後だけは長袖にロングパンツになっていたのが、おかしい。いや、そこは別に笑うところじゃないんだけどね。
やけどで顔にひどい傷をおった少女の、ほんとうの顔にはじめて気づいたとき、半ば固まりながらも、"Hi! Beauty!" と、すごくかわいい少女だと思いこんでいたときと同じあいさつをするシーンがせつなかった。