『密愛―私の生涯でたった一日だけの特別な日』

密愛 映画

密愛―私の生涯でたった一日だけの特別な日 (竹書房文庫)
長いタイトルだが、後半部分が原題で、『密愛』というのは、『シュリ』キム・ユンジン主演で映画化されたときのタイトル。両方くっつけて邦題としたわけだ。
夫に浮気された妻が、その衝撃から立ち直れず、結局自分も別の男と浮気して家庭崩壊、という、実にしょうもないストーリーだが、こういうベタな内容を安っぽいメロドラマにせず、緊張感を最後まで保って読者を引っ張っていくという、この作家の手腕は相当なものだ。物語は主人公の視点から描かれているのだが、それ以上にこの夫婦が引っ込んで暮らす田舎の情景、とくに植物の描写がとても具体的にこれでもかと繰り広げられ、それが決して退屈ではなく、物語に奥行きを与えている。
33歳っていうのは、微妙な年代だよな、確かに。
映画は未見だが、慶尚南道の南海というところでロケがされているということで、ここは「サンドゥ、学校へ行こう」でも、サンドゥとウンファンの故郷に設定されているところである。日本では、DVD もビデオも出ていないようだが、肉感的なキム・ユンジン、ロケ地、どちらにも興味をひかれる。